薄暗いビデオボックスに現れた、上品な中年紳士
雑居ビルの三階にあるビデオボックスは、昼でも薄暗かった。

換気の悪い通路には、古いカーペットの湿気と、安っぽい芳香剤、そして男たちの残した体臭が混じり合った独特の空気が常に漂っている。
佐久間満、43歳。小太りで温厚そうな丸い顔立ちと穏やかな目元が印象的な男だった。真面目で几帳面な性格で、店長代理として帳簿管理から清掃まで丁寧にこなす姿は、客からも好感を持たれている。
しかし、その裏側を誰も知らない。
同性愛者である彼にとって、この店は単なる職場ではなく、欲望の残り香に浸れる聖域だった。客が去った後の個室で、使用済みのオナホールやティッシュをこっそり物色する——それが彼の密かな日課であり、唯一の楽しみだった。
しかしその日の昼下がり、店内にいつもの冴えない男たちとは明らかに違う男が現れた。

スーツを上品に着こなした中年男性。眼鏡の奥の知的な瞳、品の良い薄い唇、穏やかでありながらどこか威厳のある佇まい。まるでiPS細胞でノーベル賞を取った某教授に瓜二つだった。清潔で、上品で、こんな場所には似つかわしくない男。
佐久間の目が、獣のように光った。
受付の時、満は愛想の良い笑みを浮かべながら、オナホールをさりげなく手渡した。
「お客様、今日はサービスでグッズを無料でお付けします。どうぞ、ごゆっくりお楽しみください」
指先がわずかに触れただけで、下半身が熱くなった。


男が個室に入ってから約四十五分後、退店する背中を見送った瞬間、満はほとんど走るようにその部屋に滑り込んだ。まだ空気が熱く淀み、男の残り香が漂っている。ゴミ箱を見ると、それはあった。

使用したばかりのオナホール。透明な部分に白く濁った精液がべっとりとへばりつき、挿入口はまだ濡れて光っていた。
「はぁ……っ」
佐久間の股間が一瞬で痛いほど硬くなった。ズボンの布地を押し上げるほどに勃起した肉棒が、疼いて脈打つ。彼は震える手でオナホールを拾い上げ、まず鼻を深く押しつけた。
生臭い、濃厚な牡の精液の匂い。
少し酸っぱく、苦く、それでいて甘いような——まさに上品な紳士が放ったとは思えない、濃密で獣じみた香り。満は目を細め、深くその匂いを吸い込んだ。頭の芯が痺れるほどの興奮が、背筋を駆け上がる。
「教授みたいな人が……こんなに濃厚な精液を……」
指を挿入口にゆっくりと沈めた。中はまだ熱かった。ぬるぬるとした精液の残滓が指に絡みつき、淫靡な音を立てる。
「熱い……まだ、熱い……」
胸がバクバクと鳴り、息が荒くなる。もう限界だった。
満はベルトを乱暴に緩め、下着ごとズボンを膝まで引き下ろした。短く太い自分の肉棒は、先端から透明な汁を糸引かせて完全に勃起している。彼はオナホールを両手で固定し、熱く濡れた挿入口に自分の亀頭を押し当てた。
ずぶっ……ぬちゃっ。
「うっ……あぁ……!」
男の残した精液がローション代わりになり、熱い肉壁が自分のものを包み込む。ぬるぬるとした感触の中に、さっきの紳士の白濁が絡みつき、混ざり合う異常な悦び。満は腰をゆっくり押し進め、根元まで深く埋めた。


「教授の……精液の中で、俺が……犯されてる……」
想像しながら、激しく腰を振り始めた。じゅぷじゅぷ、ぬちゃぬちゃという下品で湿った音が個室に響く。オナホールの中はまだ温かく、男の精液が自分の肉棒を塗りつぶし、泡立たせる。満は片手でオナホールを強く握りしめ、もう片方の手で自分の腹の肉を掴みながら、獣のように腰を打ちつけた。
頭の中には、あの眼鏡をかけた知的な顔が浮かんでいる。
あの紳士と一心同体になったような感覚。品の良い声で喘ぎ、大量の精を放つ姿。想像するだけで、射精感が一気に高まる。
「くっ……出る……出るっ……!」
満はオナホールを自分の下腹に強く押しつけ、深く突き上げながら、熱い精液を勢いよく吐き出した。どくっ、どくっ、と大量の白濁が、さっきの紳士の残り精液と混ざり合い、溢れ出す。
射精の余韻に浸りながら、彼はまだ熱いオナホールを顔に押しつけ、残った精液の匂いを深く、深く嗅ぎ続けた。
この味。この感触。この禁断の興奮。
彼の歪んだ欲望は、今日も静かに、しかし確実に深みへと落ちていこうとしていた。




